【ふしぎ遊戯玄武開伝】玄武七星士の危宿(ハーガス・テグ)についての)についての考察。
2003年に少女コミック増刊で連載が開始した【ふしぎ遊戯玄武開伝】は、1992年の【ふしぎ遊戯】の続編。
前作より過去の世界が舞台になっており、読者向けに後世に続く様々な伏線が用意されてるところが最大の見どころ。
また、玄武にも巫女を守る危宿(うるみや)という異例の双子の七星士がいますが、今回はその危宿について考察していきたいと思います。
【ふしぎ遊戯 玄武開伝】の作品情報
▽原作者
渡瀬悠宇
▽掲載誌
少女コミック(2003~2013)
但し、2013年増刊フラワーズで完結
▽出版社
小学館
【ふしぎ遊戯 玄武開伝】あらすじ
大正12年、奥田多喜子は結核療養の母・美江を実家で療養する為、岩手県盛岡市に越してきました。
多喜子は活発な彼女ですが、仕事一筋の小説家の父・永之介のことを嫌っています。
父は、支那(現代の中国)から経典・四神天地之書の資料を携えて帰宅しましたが、美江の看病もせずに日本語和訳の執筆にがむしゃらになっていました。
しばらくして美江は他界。
悲しんだ多喜子は、見舞いに来ていた大杉高雄に想いを打ち明けましたが、妻子持ちの大杉は彼女の想いに答えてあげることはできませんでした。
その直後、永之介が口論になった多喜子は、完成したての四神天地書を取り上げ破り捨てようとした時、突然光に包まれ本の中に吸い込まれてしまいました。
多喜子が吸い込まれたその異世界は、四正国の一つである北甲国の雪山でした。
雪山で、妖魔に襲われるも勇敢に挑み、風を操る少女で玄武七星士・女宿(うるき)と出会って助け合い、街へとくだったのです。
さらに、女宿から玄武の巫女の伝説を知らされ、女宿を賞金目当てで追う虚宿と行動を共にするようになりました。
倶東国の脅威にも晒されつつあることも知り、多喜子を巫女として大切にしてくれた人々に応え玄武を召還する為、巫女を護る玄武七星士を探す旅に出発するのです。
こうして物語が動き出しました。
【ふしぎ遊戯 玄武開伝】玄武七星士危宿(ハーガス・テグ)について
多喜子は、玄武召還の為にも玄武七星士の女宿・虚宿・室宿・壁宿・斗宿・牛宿と、多くの困難と犠牲を出しながらも集めてきました。
簡単に七星士を見つけることが出来ず、また見つけ出せたとしても誰かが犠牲となって命を落としてしまうのが、巫女と七星士に与えられた試練のような気もします。
テムダン王の配下として女宿抹殺の命を受けているハーガスも、七星士との戦闘の最中に顔のクロス状のバンドが取れ、眉間に七星士・危宿の証の文字があり最後の七星士を見つけました。
危宿は、ハーガスと双子の兄・テグで2人でひとりの異例の七星士となっています。
2人でひとりの七星士というだけで、特別な力を持ってそうな2人。
もしかしたら、生まれたときからの運命だったのではないかと思います。
テグとハーガスで文字を分け合う形になっていますが、再開してすぐハーガスがテグを庇うように事故死してしまいます。
事故はあまりにもタイミングが良く、まるで誰かに事故を起こさせたようなものでした。
ハーガスかテグか、どちらかが消えなければいけなかったと最後に呟いたハーガス。
生き残ったテグの眉間の文字は、この時ひとつになり、テグの成長は少年の成長で止まったままでしたが、まるでハーガスとひとつになったかのように26歳になりました。
成長が止まったというのも、幽閉されていただけで成長が止まるものかと考えるところです。
成長期に地下牢に幽閉されてたら、育つ背丈も伸びないですし、ロクに栄養あるものも与えられてなかったら成長は止まるでしょう。
感想
【ふしぎ遊戯玄武開伝】(2003)、前作【ふしぎ遊戯】(1992)とはまた世界観が違った作品でした。
前作の朱雀・青龍編では、主に友情・愛情などがテーマに思えましたが、今作の玄武編は家族の絆・命の大切さなどを感じました。
前作より、前の時代が舞台となっており、続編ではなく物語の原点はここからだと思いますので、はじめて読む方でも楽しめて読むことできますし、続けて前作を読むのもおススメです。
【ふしぎ遊戯】(1992)は名作でキャラも濃いですが、今作の【ふしぎ遊戯玄武開伝】(2003)は前作に比べるとキャラの印象も薄いところはあります。
しかし、玄武編では家族や兄弟の絆を強く描いてるようにみえます。
家族だからこその絆を見て、感動する部分や命の大切さや無駄にしてはいけない時間なども考えさせられました。
そして、今回考察した双子の七星士の危宿のハーガスとテグは玄武編に必要な存在だったと思います。
漫画を読んで2人ともに必要ですし、7人で七星士ですが玄武は異例で8人で七星士です。
双子のどちらかが死にどちらかが生き残るのは酷な話で、それも試練のひとつなのかと思うものの、玄武はやはり辛すぎます。
もちろん、朱雀・青龍も犠牲はたくさんでていました。
四神の神獣に選ばれた者の運命はこういうことなんだと、改めて考えさせられました。
ハーガスの意志を継ぐように、テグが危宿として生き続けていくのも描かれていたりと、涙なしでは読めません。
また、弟に手を出さない条件で兄が幽閉され、弟が迎えにくるのを信じて待ってるのが双子の絆を感じさせられました。