主人公・夏目貴志は幼い頃から人に見えない妖が見える体質で、日々妖たちに追いかけまわされる日々。
他人からの奇異な目やいじめと、苦労の繰り返しで両親と死別後も、親戚中をたらい回しの人生でしたが、遠い親戚の優しい藤原家に引き取られ、やっと自分の居場所が見つかりました。
その町でニャンコ先生(招き猫を依代とした妖怪斑)と出会い、祖母の遺品である「友人帳」の存在を知ります。
人や妖との出会いと別れを綴った優しい気持ちになれる物語です。
【夏目友人帳】作品情報
アニメ放送 配信プラットフォーム | 第1期:2008年7月7日 – 9月29日 第2期:2009年1月5日 – 3月30日 第3期:2011年7月4日 – 9月26日 第4期:2012年1月2日 – 3月26日 第5期:2016年10月5日 – 12月21日 第6期:2017年4月12日 – 6月21日 |
キャスト(声優) | 夏目貴志:神谷浩史 ニャンコ先生:井上和彦 夏目レイコ:小林沙苗 名取周一:石田彰 田沼要:堀江一眞 西村悟:木村良平 北本篤史:菅沼久義 笹田純:沢城みゆき 多軌透:佐藤利奈 藤原塔子:伊藤美紀 藤原滋:伊藤栄次 的場静司:諏訪部順一 |
スタッフ | 原作者:緑川ゆき 掲載誌:LaLa・LaLa DX アニメ製作:夏目友人帳プロジェクト |
謎に包まれる夏目貴志の祖父
夏目貴志の祖父の人物像
伍の第1話「変わらぬ姿」で、祖母の夏目レイコは未婚のまま娘を出産していることが分かります。
その息子が、本作の主人公夏目貴志です。
貴志の両親はすでに他界しており、誰もレイコについて詳しく教えてくれる人はいません。
レイコについては友人帳に名のある妖から流れ込んでくる記憶や、仲良くなった妖たちからの話で分かってきましたが、貴志の祖父については未だ謎に包まれたままです。
どんぐり好きの妖から流れてきた記憶の中で、こんな話がありました。
「最近、変わった人に会ったのよ。人間のくせにこの私に話しかけてくるの。木に登ったら危ないとか、もう遅いのに外を出歩くなとか。男のクセにこうるさくて苦手なんだけど、たぶん他の町に住んでいてふらっとこの町にくるみたい。その人が時々おまんじゅうを買ってくれるの。」
出典:アニメ【夏目友人帳】1話より引用
微笑みながら他人について語るレイコはとても珍しく、おそらくはそれが出会ったばかりのレイコと祖父なのではないかと思います。
男性の口調からして、レイコより歳上でお節介やきのとても優しい人物なのではないかなと想像できます。
過去の貴志同様、レイコも人の優しさに飢えています。
貴志が藤原さんという優しい人たちとの出会いで、藤原夫婦のことを心から大切にしているということから、レイコもこの優しい人に心を開いて大切にしたのでしょう。
祖父の職業
陸第10話「閉ざされた部屋」、第11話「大切なモノ」では、亡くなった祓い屋の秘密の部屋を探す名取の仕事に貴志がついて行きます。
箱崎邸を探索していると、亡くなった祓い屋の式神(青い龍)に出会います。
その青い龍から
「懐かしく感じたのは気のせいではなかったか。小僧、その顔むかし見たことがある」
「それはおそらく祖母です。レイコさんをご存知なんですか」
「いや、男だ。昔お前によく似た面差しの男に会ったことがある気がする」
【夏目友人帳 陸】アニメ11話より引用
このことから貴志に似た面差しのある男、そして妖が昔と言ったことからこの人物が貴志の祖父ではないかと思われます。
祖父の職業が祓い屋だと仮定すると、過去に箱崎邸に訪れたことがあったのかもしれません。
そして、幼い頃の藤原繁さんとレイコの話。
幼かった滋と何となく言葉を交わすようになっていたレイコは、滋から家での異変を聞き藤原家へやってきます。
今までのレイコであれば知恵や言葉、または力ずくが対応方法でしたが、この回では筆を咥えまるで祓い屋のように術式で祓いました。
この方法も、祓い屋だった貴志の祖父がレイコに教えたのではないかと思われます。
大妖斑が夏目を守る理由:式神にとって主とは
箱崎邸の2匹の龍は、主が亡くなった後もその屋敷に留まり続け、思い出を大切に静かに秘密の部屋を守りたいと願うようになったことから、とても深く主を愛していたようでした。
長く生きる妖にとって人との小さな出会いが長い年月、心を縛ることが多いようです。
陸第4話「違える瞳」第5話「縛られしもの」の妖を見れなくなった祓い屋の3人の式神の話。
主が突然、式が見えなくなったために解約の義も行われず、式たちは彷徨っていました。
ひとりは屋敷内に居たため留まることができましたが、他の2体の式は外に居たため、その間祓い屋に張られた結界により、中に入れなくなってしまいます。
弾き出され、中に入れてもらえない式神は災いを呼び、中に入れてと悲しそうな声で懇願しました。
放り出されてもなお、主の側で役に立ちたいと心から願う妖の思いの深さ。
貴志のおかげで解約の義が行われ、外にいた2人は解放されました。
貴志たちは、もう妖が見えなくなったこと主が自由になる事を望んでいると伝えると、妖たちは話も出来ないなら寂しと去っていきます。
しかし、屋敷内にいた式神は主が亡くなるまで側にいると離れませんでした。
式神にとって主とはかけがえのない存在であり、少しでもその思い出や匂いなど、側へあり続けたいと思うものなのでしょう。
大妖斑について
色々な話を踏まえて、貴志と斑にもとても深い縁を感じます。
貴志の祖父が祓い屋稼業をしていたとするなら、式神がいても当たり前です。
このことから、斑は祖父の式神だったのではないかと推測しました。
大妖斑を式神に出来る程の術士ともなれば危険な仕事もこなすはず。
仕事中に命を落とし斑は主を失った、だからレイコは未婚のまま出産したのではないかと……。
失った悲しみから斑は暴れ回って招き猫として封印され、その封印をといたのが孫の貴志なのではないかと予想します。
偶然ではなく必然、運命だったのでしょう。
だから斑は、以前の主の血により貴志を守ってしまうのではないのかなと思われます。
そしてレイコは、そんな主を横取りした女の子ですから、たまにレイコのこと口悪くを言うのでしょう。
貴志に対して守ってしまうのは祖父の血のため、意地悪いってしまうのはレイコの血のためなのかなと考察します。
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