【進撃の巨人 The Final Season】70話「偽り者」ネタバレ。見張りを殺害して逃亡したガビとファルコ。行くあてのないふたりを助けたのは彼らの憎む島の悪魔、ひとりの少女でした。
彼女との出会いがふたりにどんな未来をもらたすのでしょうか。
【進撃の巨人 The Final Season】70話「偽り者」あらすじ
牢の中。
突然苦しみだしたガビを心配した見張りの兵士が中に入ると、ガビは布にくるんだレンガで何度も殴りつけて殺してしまいます。
逃げ出したガビとファルコ。
もう誰も信じられない、とガビは怒りの感情を口にします。
そのころマーレでは、ライナーがうなされて目覚めていました。
まわりには仲間の戦士たち。
「ガビとファルコの声が聞こえた。ふたりは、どこだ?」と聞くライナー。
*
翌朝。
一晩中走った2人は川で顔を洗い、ファルコはガビに腕章をはずすよう促しますがガビは頑なに拒否しました。
軍人に発見されることを恐れたファルコが無理矢理はずすと、ガビは怒ってファルコに掴みかかります。
「なにしてるの?」
ふいに森の中から少女が声をかけてきました。
マーレの話をしていたふたりは凍りつきますが、その少女カヤは家出をしてきたと言うふたりを気づかって近所にある自分の家までついてくるよう告げたのです。
とある牧場に案内されたふたり。
島の悪魔を嫌悪するガビにファルコは、「余計なこと言うなよ」とクギをさします。
ファルコは自分たちを親もとから逃げてきたベンとミアという兄妹だと名乗り、数日ここに泊めてほしいと頭を下げました。
厩舎を営む主ブラウスは快くふたりを迎え入れ、その妻リサはガビの頭をなでようとしますがガビはその手を振り払ってしまいます。
「ごめんね。つらいことがあったんやろうに……」
夫妻はガビを思いやり、ファルコは取りつくろうように出された朝食をおいしい、おいしいと食べ始めます。
悪魔と食事なんてできないと言っていたガビも意を決して食べ物を口に運びますが、その姿をカヤがじっと見つめていました。
*
パラディ島の港にはヒィズル国のキヨミ一行が到着し、ザックレー総統が出迎えていました。
マーレ侵攻の成功を祝し、新たに開発した飛行艇をえい航してきたキヨミたち。
それは氷爆石を燃料にした世界初の機体です。
キヨミたちがやってきた目的は「地ならし」の力を見定めること。
それがなければわざわざやってきたりしないとザックレーもわかっていました。
一方、調査兵団団長のハンジは、エレンや義勇兵の拘束に異を唱える住民たちに囲まれています。
それはかつて一緒に中央憲兵団と戦ったリーブス商会のフレーゲルや新聞記者たちでした。
「地ならし」やジークについて明かすわけにいかないハンジの回答は歯切れが悪く、早々に建物内に姿を消します。
ため息をついてから入った部屋の中には、エレンの情報を流した罪で捕らえられた新兵3名とフロックがいました。
エレンを解放するべきだというフロックに、「地ならし」が我々を救う保証は無いというハンジ。
フロックたちの意見が正しいかもしれないと思いながらもハンジは彼らを懲罰房へ送ります。
ひとりになったハンジは、かつて自分が拷問したサネス(ニック司祭を殺した中央憲兵)の言葉を思い出していました。
「こういう役には多分順番がある…役を降りても…誰かがすぐに代わりを演じ始める どうりでこの世からなくならねぇわけだ…がんばれよ…ハンジ…」
【進撃の巨人】14巻56話「役者」から引用
ハンジは悶え苦しみますが、「いや。まだ調べることがある」と立ち上がったのです。
新兵のひとり、ルイーゼを懲罰房へ連れて行くミカサ。
「あの日から、少しでもあなたに近づきたくて……」
そういうルイーゼはかつて自分の命を救ってくれたミカサを信奉しています(2巻第5話)
ミカサを救ったエレン・イェーガーを支持するというルイーゼに「口を閉じてなさい」と言うミカサ。
言葉の代わりに“心臓を捧げよ”のポーズをとるルイーゼ。
その瞬間、ミカサはエレンとの出会い(エレンがミカサを拉致した暴漢を殺したとき。2巻第6話)を思い出し、例の頭痛が起きたのです。
【進撃の巨人 The Final Season】70話「偽り者」ネタバレ
穏やかな朝の光の中、鉄格子のはめられた窓のある部屋に軟禁されているイェレナ。
ピクシス司令はイェレナに、フロックの手引きでエレンと会ったのではないかと尋問を始めます。
*
厩舎の仕事を手伝い始めたガビとファルコ。
ライナーたちが助けに来るまで、おとなしく待とうというファルコにガビは憤りますが、そこへカヤが昼食だと声をかけます。
3人並んで食べながら、カヤは「ここには4年前の巨人襲来で親を失った子どもたちが身を寄せている場所」だと説明しました。
するとガビが島の民の罪について話し出し、オロオロするファルコ。
そんなふたりにカヤは、「マーレではそう教えられてるの?」「君たちはマーレから来たんでしょ」と言ったのです。
正体がバレたとみるや、ガビはすかさず近くにあった鋤(すき)を手にしてカヤに襲いかかろうとしました。
それを止めようとするファルコ。
騒ぎを見て声をかけてきた人に適当なことを言ってごまかすカヤ。
そのあとカヤは、2人をかつて自分が住んでいた村へと連れて行きます。
4年前、1体の巨人が現れ、村人は足の悪いカヤの母親を置いて逃げてしまいました。
カヤは自宅で生きたまま母親が巨人に食べられている様をただじっと見ていたといいます。
壁の外には人類がいて、私たちを悪魔の民族だって言っているみたいだけどなぜそんなに恨まれているのかよくわからない、とカヤ。
「お母さんはなにをしたの?なにをしたからこんなに恨まれているの?」カヤはふたりにたずねます。
「何千年も巨人の力で世界を支配し蹂躙してきたの!」思いの丈をぶつけるガビ。
でもカヤは「お母さんは誰も殺していない!!なにか理由があるんでしょ?」と涙目で詰め寄ります。
「威力偵察です……」ファルコが小さな声で答えました。
そして「お母さんにはなんの罪もありません。ごめんなさい……」と。
カヤが「ベン(ファルコ)が謝るのはおかしいよ。マーレで生まれただけなのに」と言うと、2人は複雑な表情を浮かべました。
その状況からどうやって助かったのかとファルコがたずねると、カヤはひとりのお姉ちゃんが斧で立ち向かい、自分をオトリにして逃してくれたと話し始めます。
「お姉ちゃんが生きていたら、行くあてのないあなたたちを決して見捨てたりしない。私にそうしてくれたように」
そして、「今度マーレの人が働いてるレストランに招かれている、そこに行けば帰る方法が見つかるかもしれない」と話しました。
「私は、お姉ちゃんみたいな人になりたいの」
*
マーレの戦士、ライナー、ピーク、ポルコ、そしてファルコの兄コルトはマガト隊長からジークの裏切りを聞かされます。
おそらく、4年前のパラディ島調査船にエルディア復権派の同志を潜り込ませて、マーレの技術を漏らして新しい立体機動装置や飛行船を作らせ、今回のマーレ侵攻をおこなったのだと。
そして、半年以内にジークのいるパラディ島に世界連合軍による掃討作戦をおこなうとマガトは言います。
「ファルコとガビの救出も半年後でしょうか?」と立ち上がるコルト。
マーレの力だけではまた返り討ちにあう、というマガトに「ジークもそう考えるでしょう」とライナー。
「ジークはただ策もなく半年待つ人ではない。今すぐパラディ島を奇襲すべきです!」
【進撃の巨人 The Final Season】70話「偽り者」感想まとめ
今回のストーリーは過去からの因縁、因果応報が強く感じられる内容でした。
今後しばらく主役となるガビについてはあとで触れるとして、まずはミカサとルイーゼです。
ルイーゼは原作の初期にモブとして登場した女の子で、巨人の襲来に逃げまどっているとき、さっそうと現れたミカサに救われた人々の中のひとりでした。
ちなみにそのとき、欲にかられてたくさんの荷物を運び通路を塞いで住民の避難を遅らせた悪役が、のちに調査兵団の味方となるリーブス商会の先代会長ディモです。
現在会長をつとめるフレーゲルは、今回ハンジにエレンの解放を訴える民衆のひとりとして登場しています。
一緒に声をあげた新聞記者ふたりも、かつて腐った中央憲兵団を糾弾するために立ち上がったハンジの味方でした。
しかし、今回はハンジを問いただす側にまわっています。これも因果応報でしょうか。
そのあとハンジは凄まじい拷問を加え、だまし討ちのようにして秘密を吐かせたサネスの言葉を思い出します。
文字通り因果はめぐる、といった内容の言葉でした。
それでも気を取り直して立ち上がるハンジ、さすがのメンタルです。
さて、ミカサは去り際に“心臓を捧げよ”のポーズをし、少女ルイーゼは思わずそれを真似しています。
そしてミカサは頭痛にみまわれ、エレンと出会ったときのことを思い出します。
謎めいたミカサの頭痛ですが、今回懲罰房の中のルイーゼが例のポーズをしたとき、また頭痛が起きてしまいました。
ミカサの頭痛は主に、エレンに関して絶望を感じたとき(エレンの母の死、エレン自身が巨人に食われるなど)か、瀕死のアルミンに接したときに起きていますが、ルイーゼに関しては謎です。
ルイーゼに関しては多くの考察の中でも、ミカサが自分をルイーゼに重ねているという説が有力な気がします。
ある種、エレンに対してストーカーのようにはりついてきたミカサ。
ルイーゼもまた、憧れのミカサに近づくために調査兵団に入り、ミカサの大切なエレンを崇拝するイェーガー派に協力します。
今回も、自分の入った懲罰房がかつてミカサが入ったのと同じ場所かどうか気にしていました。
そんなミカサ、エレン好き好きルイーゼに、エレンに固執する自分を重ねているような気がします。
だからルイーゼといると、エレンと出会ったときのことを思い出して頭痛が起きるのではないでしょうか。
(でも、ではなぜエレンと出会ったときを思い出すと頭痛が起きるのかは謎のままですが)
*
さて次はお待ちかねのガビです。というか今回はカヤです。
今回の話でもっともエモいのは、ガビとファルコを助けたのがカヤだったという点です。
マーレの人間だと知りながら、それでも困っているふたりをカヤが助けたのは憧れのサシャに近づきたかったからです。
既にサシャは亡くなっているので、カヤはその意志を継いで他者を見捨てない人間になろうとしているのです。
しかし、そのサシャを殺したのはいま目の前にいるガビなのです。
この時点ではカヤも、ガビもファルコもその事実を知りません(ふたりの脳裏をかすめているかもしれませんが)
彼らを受け入れてくれたブラウス厩舎。
サシャの名字もブラウスでした。
実は、ブラウス夫妻はサシャの両親なのです。
なんの因果かガビとファルコは、彼らをもっとも憎む人たちに助けられてしまったのです。
そしてカヤはふたりを助けようと、マーレ人の働くレストランに行ったらそのマーレ人に会わせようと考えているのです。
なんという残酷な運命なのでしょう。
そこで待つのはマーレ人でありながらサシャを大切に想っていたニコロなのです。
(68話でサシャの父親に、サシャが喜んで食べた料理を食べに来てほしいとニコロが招待していました)
カヤの思い、ニコロの気持ち、そしてガビとファルコがどうなってしまうのか。
しばらく彼らの動きに注目です。
*
最後に演出面について。
今回は森や川など背景の、とくに光の使い方が素晴らしかったことに触れておきたいと思います。
ガビが川で顔を洗うシーン、暗い森の中から明るい光の中にいるふたりをとらえ、ガビから滴る水まできらめいています。
ふたりに声をかける森の中のカヤ。
カヤではなくその横の木の幹に朝日があたり、そのあとファルコの顔の目のアップでは透明感あふれる川の水面が揺らいでいるのがみえます。
また中盤、イェレナの登場シーンでは物憂げに座るイェレナに鉄格子の影が映り、やわらかな朝の光とともに拘束されている状況が美しく表現されています。
得体の知れないイェレナですがこのアニメでは美しく描かれており、ピクシス司令の「美女と会話できる口実ができて何よりじゃ」というセリフに説得力が増しました。
そのほか、今回みていて一番ゾクゾクしたのはエンディングの使い方です。
カヤがサシャについて語る重要なシーンに歌がかぶり、こちらの感情は否が応でも高まってしまいます。
そしてそれが終わると、一気にテイストが変わりマーレ側の戦士隊のシーンへ。
ジークの裏切りを知って怒りに震える戦士たち。
そしてガビとファルコの奪還に燃えるライナーの言葉で次回への興味がふくらみます。
毎回エモさに心震える【進撃の巨人 The Final Season】次回も楽しみです!