【約束のネバーランド】解説と考察。
連載当初からの反響が大きくいくつもの漫画賞を受賞し、累計発行部数が1800万部を超える大ヒット作【約束のネバーランド】。
主人公の暮らす孤児院では、ある年齢前になると里親の元へと送られていました。
しかし、里親の元へというのは表向きだったのです。
子供たちが見た孤児院の恐ろしい実態とは!?
さらに放送が決まっているアニメ第2期や、実写映画化についてもご紹介致します。
【約束のネバーランド】作品情報
▽作品名
【約束のネバーランド】
▽原作者
白井カイウ(原作)
出水ぽすか(作画)
▽出版社
集英社
▽掲載誌
週刊ジャンプ(2016年~)
▽アニメ放送
2019年1月-3月:1期(フジテレビ他)
2021年1月-:2期
▽声優(アニメ)
諸星すみれ:エマ役
内田真礼:ノーマン役
伊瀬茉莉也:レイ役
甲斐田裕子:イザベラ役
藤田奈央:クローネ役
植木慎英:ドン役
Lynn:ギルダ役
河野ひより:フィル役
石上静香:ナット役
茅野愛衣:アンナ役
日野まり:トーマ役
森優子:ラニオン役
小澤亜李:コニー役
▽記事内画像
【約束のネバーランド】あらすじ
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一見すればごく普通の孤児院・グレイス=フィールドハウス(GF)では、たくさんの子供たちが暮らしており、”6歳から12歳までに”里親の元へと送られていました。
ある日、コニーという少女に里親が見つかり、孤児院を出て行くことになります。
コニーを見送った後、彼女がお気に入りのぬいぐるみを忘れていたことに気づいたレイは、今ならまだ間に合うと、エマとノーマンに話しました。
するとエマとノーマンは、ぬいぐるみを届けようとコニーが向かった門まで急ぎ、少女が乗ったと思われるトラックを見つけます。
しかし、中を覗いて見るとそこには無残な姿で死んでいるコニーがいたのです。
ショックを隠しきれずにいるエマたちは、人の気配を感じて身を隠しトラックの下に潜り込んで様子を見ました。
目の前のドアが開き、誰かが出てきました……が、それは人ではなく恐ろしい姿をした”異形の怪物”だったのです。
怪物らの会話で、人間を食べていること、”この農園”の人肉は高級品だと言うことがわかりました。
つまり、GFは食人鬼に食べられるための”食用児”を育てる農園だったのです。
さらに鬼に子供たちを引き渡していたのが優しいママだったと知ったエマとノーマンは、子供たち全員を連れて農園から逃げ出すことを決意するのでした。
【約束のネバーランド】登場人物
最年長・フルスコア組
エマ
識別番号63194
生年月日2034年8月22日(11歳)
エマは、本作の主人公であり面倒見が良くかなりの楽天家。
毎日のテストでは度々フルスコア(300点)を記録していて、運動能力も高いです。
ある日、コニーの”出荷”を目撃したことで孤児院の真の顔を知ることとなり、子供たち全員での脱獄を目指します。
ノーマン
識別番号22194
生年月日2034年3月21日(11歳)
ノーマンは、毎日のテストでは常にフルスコアを記録するほど頭脳明晰。
戦術を考えるのが得意です。
エマに好意を抱いていることから望みを叶えるべく、全員脱獄という難しい方法にもあえて賛同します。
レイ
識別番号811194
生年月日2034年1月15日※(11歳)
※原作漫画5巻での原作者・白井カイトウのメッセージで、「レイの本当の誕生日は別にある」と意味深なメッセージが残されています。
毎日のテストでは度々フルスコアを記録した博学な読書家。
イザベラの実子であり”幼児期健忘”が起こらなかったことから、胎児からの記憶を持っていて、鬼のことも昔から知っていました。
現実主義者で、幼児を含めた全員脱獄の難しさを主張しますが、エマが折れないため渋々ながらも協力することに。
食用児たち
ドン
識別番号16194(10歳)
ドンは負けず嫌いで仲間思いな性格。
ノーマンたちに比べて短絡的で、感情で行動してしまう面も。
ギルダ
識別番号65194(10歳)
ギルダは、内気ではあるものの芯の通った性格。
エマとは共に年少らの面倒を見るなど仲が良いです。
コニー
識別番号48294(6歳)
コニーは、ぬいぐるみのリトルバーニーがお気に入りの少女。
毎日のテストスコアがイマイチなのを少し気にしています。
コニーの”出荷”によって、エマたちは鬼の存在やハウスの真相を知ることになりました。
フィル
識別番号34394(4歳)
フィルは、毎日のテストで200点台を記録するほど賢い少年。
ハウスの蔵書で見つけたキーワードの”モールス符号”を教えたのもフィル。
エマが全員脱獄について4歳以下を残すか悩んでいると相談した際には、4歳以下の収穫が最低でも1年半はないと説明を受けて、置いていくよう提案します。
4歳以下の子供たちの中で、唯一”真実”を知る者として後のことを引き受けました。
GFの職員たち
マム・イザベラ/飼育監(ママ)
識別番号73584(31歳)
イザベラは子供たちにとても優しく接しますが、裏では人間農園を管理する飼育監(ママ)。
飼育監の中でも特に優秀であり、鬼やグランマからも一目置かれる存在。
イザベラも農園出身で一度脱獄を試みますが、塀の先に広がる断崖絶壁を見て諦めたことがありました。
レイが幼い頃、自身しか知らないオリジナル曲を口ずさんでいるのを見つけ、レイが実子であると確信します。
シスター・クローネ/補佐役(シスター)
識別番号18684(26歳)
シスター・クロ-ネは、ネイザベラからの監視強化の要請で本部から派遣された補佐役で、エマたちのいる第3プラント(GF)とは別のプラント出身。
自分を見下すイザベラに強い嫌悪感を抱いており、彼女のミスを見つけ報告することで”ママ”の座を狙っています。
そのためエマたちと強力関係を築いて、自身の知っている組織の様々な情報を教えるのでした。
ハウスからいなくなる直前に、ノーマンへ手がかりを遺していました。
グランマ
容姿はぼかされ、年齢など詳細は不明。
複数のプラントを統括する立場であり、飼育監の上司と思われます。
特にイザベラを高く評価しており、彼女の管理する第3プラント(GF)を頼りにしています。
イザベラの幼少期には農園で”ママ”をしていて、彼女に農園の秘密を知られ脱獄されかけた描写がありました。
しかしこれも、農園の秘密を知られても制御できれば良いというグランマの方針であり、イザベラもこれを受け継いでいるように思われます。
【約束のネバーランド】解説
孤児院の実態は”人間農園”だった
https://anime-number.com/zone00/
コニー”出荷”を目撃したことから、グレイス=フィールドハウス(GF)が”人間農園”だったことに気付いたエマとノーマン。
今まで当たり前に過ごしていたGFでの暮らしのルールにもこれで納得がいきます。
- 森に作られている柵の外に出てはいけない
- 外へと通ずる門へ行ってはいけない
- 12歳になるまでには里親が決まり、外の世界へ旅立つ
これらは全て子供たち(商品)を管理するため。
イザベラの管理するGFは特上と言われており、傷ひとつつけないよう優しい”ママ”として商品である子供たちを管理してきました。
これに加えGFの特徴は、
- 英才教育が施され、毎日行われるテストのスコアが悪い順に出荷される
- テストの成績がいいと出荷は見送られるが、12歳になると”満期出荷”とされる
- 制服は真っ白なシャツとズボン、女子は真っ白なシャツにプリーツスカート
- 食事は子供たちでも調理器具を使わずに簡単に用意のできるレトルト食品が多い
- 教育方針は、のびのび育てる、秘密厳守
この教育方針によって、鬼たちが好む発達した脳が作られているのです。
本部やグランマがイザベラに信頼を寄せているのは、こうした徹底した管理の下で唯一の”特上品”を作っているからでした。
全員で脱獄を目指す
グレイス=フィールド(GF)の真実を知ったエマとノーマンは、レイを仲間に加え全員脱獄のための鬼ごっこに称した訓練を行うことにします。
門からの脱出は難しいと考えたエマたちは、高い塀を超えて脱獄する方法を取り、レイが体力や知識、戦略を教えました。
しかし、ここでエマたちにひとつの問題が浮かびます。
イザベラが、子供たちに埋めた発信機を使って位置情報を把握していることに気付いたのです。
後に、発信機が左耳に埋められていることをエマが突き止め、解除方法についてはレイが引き受けることになりました。
加えて、脱獄後のことも考えるべきだというノーマンに、エマは頼れる人としてGFに本を寄贈しているウィリアム・ミネルヴァのことを教えます。
ウィリアム・ミネルヴァが寄贈した本には、様々な単語がモールス符号で書かれていて、まるでメッセージのようになっていたのです。
しかし、今のところエマたちにも、その法則や意味はわかりませんでした。
その頃、GFに新しく補佐役(シスター)としてクローネがやって来ました。
クローネは収穫を知ったエマたちを捕まえ、本部に報告して手柄を立てれば、かねてからの夢である”ママ”の座に就けると行動を始めます。
ところが、脱獄を画策していることが思っている以上イザベラに漏れていたことから、エマたちは内通者の存在を疑い始めました。
そこでノーマンは、内通者を炙り出すための罠を仕掛けたのです。
これにより、レイがママのスパイだったことが明らかになりました。
レイはずっと昔からママのスパイであり、全てはエマとノーマンを殺させないためだったと明かしたのです。
- 幼児期健忘が起こらなかったため、胎児からの記憶を持っている
- 鬼や農場のことも昔から知っていた
- 6年前から発信機について調べ始め、現物も見ていて実験もしている
- ママのスパイとして得た報酬を集めて発信機の解除器を作っていた
この後、二重スパイとして動くことになったレイは、さらにドンとギルダを仲間に加え計画を進めていくのです。
”事情が変わった”ノーマンの出荷
シスター・クローネは、監視を続けるうちにエマたち5人が脱獄の計画を進めていることに気付き、エマたちに協力を持ち掛けます。
情報を提供して彼女らの脱獄を間接的に手助けすることで、上手くいけば本部に突き出せると考えていたのです。
ところが、クローネよりも先を読んでいたイザベラは、昇進にかこつけて彼女をグレイス=フィールド(GF)の外へ出し出荷することに。
クローネはグランマに、掴んでいたイザベラの失態を盾にしますが、イザベラは必要な駒であり、邪魔は困ると殺害されてしまうのでした。
殺害される直前のクローネは、走馬灯のようにかつての自分が不条理な世界で生き残るため、必死でママになるための訓練を受けた日々を思い出します。
いつの間にか忘れていたこの世界への憎しみを「絶対逃げろよ、クソガキども」と、エマたちに託したのです。
さらに、クローネはGFを出る直前にノーマンの戸棚にマスターキーの型とW.M(ウィリアム・ミネルヴァ)のイニシャルが書かれた1本のペンを遺していました。
クローネを処理したイザベラは、レイに”事情が変わった”ためスパイを止めるよう不当解雇を言い渡した後、塀の下見をしようとしていたエマとノーマンの元へやって来ました。
イザベラは、飼育監と食用児として「苦しんでほしくないから、抗わないで。逃げるのは不可能、絶望がいっぱい」と、不気味な笑みを浮かべて忠告します。
しかし、話を聞き入れずに下見を強行しようとするノーマンたちを止めるため、イザベラはエマの足を折って妨害。
さらに、本部からの通達でノーマンの出荷が決まったと告げたのです。
それを知ったエマとレイは、ノーマンがひとりで逃げるための準備を始めました。
ところが、出荷日当日にノーマンは予定通りイザベラの目を盗んで逃亡したものの、GFへ戻ってきてしまったのです。
それを残してノーマンは出荷されるため門へと向かいます。
ノーマンが覚悟を決めてトラックに乗り込もうとした時、別で待つようにと隣の部屋に案内されました。
ところが、部屋の中を見たノーマンの表情が驚きへと一変したのです。
【約束のネバーランド】考察
ノーマンの出荷は特別ルート?
ノーマンは出荷を迎え、トラックではなく”ある部屋”に通されて驚いた様子を見せました。
頭脳明晰なノーマンが驚くほどの出来事ということから、到底想像のつかないことだったのだと思います。
それからすると、”出荷”というパターンは除外され、まだノーマンが知らない展開が起こったのではないかと考えるのが妥当でしょう。
そもそもノーマンは、常にフルスコアを取れるほどの知能を持つ”特上中の特上”であり、至福のためにただ出荷するのではもったいないと考えられたのではないかと推測します。
この施設では、イザベラの回想で自分が妊娠している時の様子が描かれていますが、もし飼育監(ママ)が子供を産むのだとすれば……。
もしかすると、高級農園内の子供たちは彼女たちが産んでいるのかもしれません。
そうなると、必要となるのは父親という存在。
せっかく飼育監(ママ)をエリートに育てているのに、相手側にそれを求めないはずはないので、農園内で育ったエリートを父親にするのが最適なのではないかと考えます。
もしくは、上記にも書いた通りノーマンのスペックならば、”ノーマン”というクローンを作るために研究している可能性もゼロではありません。
少しくらい出荷を見送ってでも、彼のような特上な食用児が作れるようにできるのだとしたら……。
そのほうが安定した利益が出るので、その可能性は十分に考えられます。
イザベラの「いってらっしゃい」
柵の上でエマを見つけたイザベラが言った「いってらっしゃい」。
「さよなら」ではなく「いってらっしゃい」だったのには、どんな思いがあったのか。
イザベラも自身も、幼少期にハウスの脱獄を試みて断崖絶壁に諦めた経験がありました。
その頃の自分と重ねて、自由に向かったエマたちに賭けたのではないかと思います。
実際、エマたちが使ったロープを片づけるイザベラの姿がありました。
クローネと同じように、かつての農園に抱いていた恨みなどを思い出したのかもしれません。
【約束のネバーランド】プチ情報
アニメ1期の続きは原作漫画の何巻から?
【約束のネバーランド】のアニメでは、グレイス=フィールド脱獄までが描かれました。
アニメは全12話で、漫画5巻の第37回まで放送されたことになります。
そのため、アニメの続きから読みたいのであれば漫画5巻から読むことをオススメします。
しかし、【約束のネバーランド】は原作漫画とアニメで大筋は同じものの、細かい描写などが異なるため1巻から読むといいでしょう。
【約束のネバーランド】アニメ第2期はいつから?
【約束のネバーランド】のアニメは、第2期の放送が決まっていますが、当初の予定から延期になったため、第2期は2021年1月よりフジテレビ他にて放送開始が予定されています。
ちなみに、【約束のネバーランド】アニメ第1期も再放送が決まっており、2020年10月よりフジテレビ・ノイタミナ他にて放送開始予定です。
【約束のネバーランド】実写映画化される⁉
【約束のネバーランド】の実写映画化は2020年12月18日に公開予定。
キャストには、北川景子や渡辺直美が名を連ねます。
エマ(浜辺美波)
生年月日:2000年8月29日
代表作:【きみの膵臓をたべたい】(2017)、【賭ケグルイ】(2018)
前々から原作ファンだったという浜辺美波は、原作を愛する方々の想像を超える”ネバーランド”にしたいとコメントしています。
レイ(城桧吏)
生年月日:2006年9月6日
代表作:【万引き家族】(2018)
城桧吏もまた、原作ファンの一人のようでレイには自分にない部分が多いと言います。
そのため、よりレイに近づくため大人と話したり、監督に教えてもらった作品を見て役作りに励んだそうです。
ノーマン(板垣李光人)
生年月日:2002年1月28日
代表作:【仮面ライダージオウ】(2018)
板垣李光人は、最上級(フルスコア)なものをお届けしたいこと、GFのみんなを心から愛して脱獄に導くと意気込みを見せています。
イザベラ(北川景子)
生年月日:1986年8月22日
代表作:【謎解きはディナーのあとで】(2013)、【家売る女】(2016)
漫画原作の映像化に難しさを嫌というほど理解しているという北川景子は、このネバーランドの世界観を漫画のクオリティを損なうことなく実写化するというのは不可能なのではないかという思いがあったと言います。
しかし、イザベラの年齢設定やキャラクター含め原作の設定をひとつも変えないという確約を監督から得て、オファーを受けたそうです。
クローネ(渡辺直美)
生年月日:1987年10月23日
代表作:【ピクセル】(2015)、【リメンバー・ミー】(2018)
表情や感情が豊かなクローネを実写でしっかり表現出来るように、監督と相談しながら全力でチャレンジした渡辺直美。
そんな激しいクローネに、現場の小さな子供たちも軽く引くほどだったそうです。
【約束のネバーランド】感想
実写映画化やアニメ2期も決まり、原作もラストへ向かって盛り上がりを見せる【約束のネバーランド】。
連載開始以降、その驚きの内容に衝撃を受けました。
早々で孤児院の真相が明らかになり、ゾッとする場面もありました。
しかし、とてもうまく散りばめられた伏線には”やられた”と思うことも。
やっと自由への道のりを歩き始めたエマたちですが、この先どんな現実が待ち受けているのか注目です。
【約束のネバーランド】海外ドラマ化が決定!
原作:白井カイウ、作画:出水ぽすかの【約束のネバーランド】が、海外実写ドラマ化されることが決定しました。
監督は、【スパイダーマン: スパイダーバース】(2018)で監督デビューし、アカデミー最優秀長編アニメーション賞を受賞したロドニー・ロスマンが務めます。
プロデューサーには、【Hawaii Five-O】や【HEROES】で活躍したマシ・オカが担当するとのこと。
配信はAmazonPrimeVideo