【進撃の巨人 The Final Season】の放送が2020年12月6日(日)スタートしました!原作は「別冊少年マガジン」に2009年9月から連載されている大人気漫画。テレビアニメとしてはいままで3シーズン59話が放送されてきました。
今期から制作会社が「WIT STUDIO」→「MAPPA」に変わり、ストーリー的にもエレンたち主人公側ではなく敵対する国マーレの話から始まったためガラッとちがう雰囲気が話題となりました。ここではその再開一発目60話と61話をご紹介します。
【進撃の巨人 The Final Season】60話「海の向こう側」
銃弾が激しく飛び交う戦場で、兄コルト・グライスは弟のファルコを担いで命からがら後方の塹壕へと戻ってきました。
前方のエルディア人部隊は全滅し、コルトはこれ以上塹壕を掘り進めるのは無理と報告しますが、マガト隊長は「エルディア人が私に命令するのか」と取り合いません。
意識が混濁しているファルコを介抱する仲間のガビ・ブラウン、ウド、ゾフィア。
皆、マーレの戦士候補生です。
ガビは自分が「鎧の巨人」を継承し、収容区で暮らすエルディア人を解放するという覚悟を語ります。
コルトは「顎」と「車力」ふたりの巨人を差し向けるよう意見具申しますが、敵の対巨人砲を備えた装甲列車の登場にマガト隊長は慎重です。*意見具申とは自分より上の者に意見を述べること。
かつて「始祖」奪還計画に失敗し「超大型」と「女型」を失ったように、これ以上巨人を失ったらマーレの威信に関わります。
そのため、マガト隊長は残っているエルディア人部隊800人の突撃を指示したのです。
すると突然ガビが、ひとりで装甲列車を破壊してみせると宣言し、下着姿で敵の前に進み出ていきます。
わざと倒れ、ちょうど近づいてきた装甲列車に手榴弾の束を投げつけるガビ。
列車は見事に脱線し、その機に乗じて「顎の巨人」と「車力の巨人」が暴れまわり一気にマーレは優位に立ちました。
満を持して上空の飛行艇から巨人化したエルディア人が投下され、スラバ要塞の中東連合の兵士たちを襲います。
その後、降下してきた「鎧の巨人」ライナー・ブラウンは対巨人砲装甲弾に硬い皮膚を貫かれ、残っていた装甲列車からの砲撃で左腕を吹き飛ばされてしまいます。
そして次の瞬間、複数の砲台に狙われ凍りつくライナーを救ったのは「顎の巨人」ポルコ・ガリアードでした。
「顎」の活躍でなんとか要塞を制圧したライナーのもとへ、「獣の巨人」ジーク・イェーガーが降りてきます。
「獣」は要塞にあった爆薬をつかむと、要塞からほど近い海岸に展開している敵の艦隊に投げつけました。
しかし、まるで刺し違えるかのように艦隊から大量の砲弾が浴びせられ、「獣」を守ろうと立ちはだかった「鎧」が倒れてしまいます。
4年に渡る戦争はマーレの勝利で終結しましたが、これにより巨人の力に頼った戦い方はもう通用しないことが世界に露呈してしまったのです。
【進撃の巨人 The Final Season】61話「闇夜の列車」
各国は巨人に対抗する兵器や航空機の開発に力を入れ、いずれ巨人頼みのマーレの戦い方では立ち行かなくなるとマガト隊長は語ります。
するとジークが、いまこそパラディ島作戦を再開し「始祖の巨人」奪還を急ぐべきだと元帥に進言しました。
ジークの任期(命)はあと一年。
その間に片を付けたいとジークは言います。
会議のあとマガト隊長とジークは、パラディ島にはエレン・イェーガー以外にも手強い巨人がいるという意見で一致します。
またそのほか、立体機動装置を使いこなす手練れの兵士の存在も脅威です。
そんななか、ミカサ・アッカーマンに襲われる悪夢で目覚めたライナー。
横にいたポルコに先日助けてもらった礼を言いますが、ポルコはライナーのせいで「鎧の巨人」を継承できず、兄マルセルをも失ったことを責めます。
そこにやってきた「車力の巨人」を宿すピークに、戦士候補生に顔を見せてあげるよう言われたライナーは、ガビたちとつかの間の穏やかな時間を過ごします。
その夜、レベリオの本部に向け走る列車の中で、酔っ払ったコルトがガビを称えエルディア人兵士を乗せた車両は大騒ぎです。
となりの車両ではライナーがファルコに「鎧」はガビが継承するだろうと告げると、ガビを死なせたくないファルコは反発します。
ライナーは、マーレの戦士を侮辱するのかとファルコに詰め寄りますが、本心はファルコと同じでした。
レベリオに到着し収容区の扉が開くと、エルディア人兵士たちは笑顔で家族のもとに戻っていきます。
その一方で、ファルコは心的外傷を負った兵士たちを見かけやさしく声をかけていました。
ブラウン家ではガビが誇らしげに戦果を語り、ライナーも「鎧」の継承はガビで間違いないと言います。
パラディ島に潜入していたライナーは、そのころのことを聞かれていかに奴らが残虐非道な悪魔だったかを説明しますが、それはなぜかかつての仲間たちの思い出話のようになってしまい、慌てて「忘れてくれ」と取りつくろったのです。
翌朝、ガビはライナーの母カリナが違和感を感じているようだとライナーに伝えます。
その日、ジークは集まったライナー、コルト、ポルコ、ピークに、エルディア人の生存権が危うくなってきた今、早急に「始祖の巨人」とパラディ島の資源をマーレに納めなければならないと告げます。
そして、改めてパラディ島の脅威を世界に知らしめる役を、「戦鎚の巨人」を有するタイバー家が引き受けてくれると続けます。
タイバー家は巨人の力を行使したことがなく、フリッツ王家を退けたことで諸外国も一目置いているとピークが補足します。
ポルコは今さらなぜタイバー家が?と異論を唱えますが、ライナーは協力しましょうと発言したのです。
ジークによると、近くタイバー家は諸外国の要人や記者をレベリオに招き、一年以内にパラディ島を制圧すると宣言するとのこと。
その様子をマガト隊長らマーレの人間が盗聴していましたが、内容にはほぼ問題なしと判断されました。
部屋を出たライナーは思っていました。
(俺はまた行くのか、あの島へ)
【進撃の巨人 The Final Season】前シーズンからのつながり
【進撃の巨人】Season3まではエレン・イェーガーを主人公とする壁の中の話でした。
幼いころのアルミンが「海が見たい」と言っていた伏線を回収するかのように、59話「壁の向こう側」のラストでエレンたちは初めて海を見ます。
ようやくたどり着いた青く広い海で、本来ならカタルシスを感じるような美しい演出でしたが、エレンの最後のセリフは絶望的なものでした。
「壁の向こうには…海があって 海の向こうには自由がある ずっとそう信じてた… …でも違った 海の向こうにいるのは敵だ 何もかも親父の記憶で見たものと同じなんだ… …なあ?向こうにいる敵…全部殺せば…オレ達自由になれるのか?」
出典:「進撃の巨人」22巻第90話「壁の向こう側へ」より引用
そして今回のThe Final Seasonです。
物語はその「海の向こう側」、マーレの国から始まります。
エレンたちがいるパラディ島での潜入作戦に失敗したジークやライナーたちが、マーレの戦士として巨人の力で戦いつつ後継者を養成している様子が描かれています。
もとは同じエルディア人、ユミルの民でありながら、マーレに残された人々は差別され虐げられ兵器として使い捨てられています。
唯一の希望は“マーレの戦士”(巨人)となってマーレのために戦い、名誉市民になること。
そのために戦っているという彼らの事情がこのThe Final Seasonでよくわかります。
もちろん回を追うごとにエレンたちも登場し、物語は最終決戦へと向かっていきます。
(実は今回の60話にはジャンが、61話にはエレンが登場していました)
次回62話はライナーの幼い頃の話になります。
【進撃の巨人】巨人の種類をおさらい
巨人について
おさらいのため知性巨人をひととおり紹介します。
なお、継承者はアニメ放送時点のものです。
巨人は全部で9種類。
その力を継承した者はその後13年しか生きられません。
「始祖の巨人」
継承者:エレン・イェーガー
能力:巨人を操ることができる/エルディア人の記憶を改ざんすることができる
すべての巨人の始祖であり頂点。
王家の人間でないとその力を発揮できませんが、王家以外の人間が継承した場合、王家の血を引く人間と接触することで力を発動することができます。
「進撃の巨人」
継承者:エレン・イェーガー
能力:未来の継承者の記憶を見ることができる
九つの巨人は皆、過去の継承者の記憶を見ることができますが、過去と未来両方見られるのは「進撃」だけです。
「超大型巨人」
継承者:アルミン
能力:60mの巨体による破壊力/熱風を放つ
「鎧の巨人」ライナーと行動を共にしていたベルトルトを捕食してアルミンが継承しました。
このとき、継承者をエルヴィン団長にするかアルミンにするかというドラマがありました。
「鎧の巨人」
継承者:ライナー・ブラウン
能力:常時硬質化した皮膚
「女型」や「進撃」などのような一時的な硬質化ではなく常に硬い皮膚に覆われており、壁の破壊や仲間の防御などが主な任務です。
「女型の巨人」
継承者:アニ・レオンハート
能力:機敏な動きと高い戦闘能力/持続力/一時的な硬質化/無垢の巨人を呼び寄せることができる
調査兵団の作戦によって正体がバレたとき、アニは自分の身体を固い水晶(硬質化)のようなもので包んで守り、その状態のまま幽閉されています。
「獣の巨人」
継承者:ジーク・イェーガー
能力:巨人になっても喋れる/投てき能力/その脊髄液を投与されたエルディア人を無垢の巨人にすることができる/月が出ていれば夜間でも活動できる(無垢の巨人も)
マーレの元帥に「驚異の子」と呼ばれ一目置かれていますが、王家の血筋を引いていることは隠しています。
「顎(あぎと)の巨人」
継承者:ポルコ・ガリアード
能力:小柄な体格を生かした強襲型/素早い動き/強力な顎と爪の力
ライナーたちといっしょにパラディ島に潜入したマルセル・ガリアードが、ライナーを助けようとして無垢の巨人に食われユミルが継承。
その後、ライナーと共にマーレに渡ったユミルをマルセルの弟ポルコが捕食して現在に至ります。
「車力の巨人」
継承者:ピーク・フィンガー
能力:四足歩行/月単位での長期任務が可能/さまざまな兵装が可能
馬面でかなり個性的な風貌の巨人ですが、ピーク自身はやさしくおだやかな女性。
長期間四足歩行をしているせいで人間の姿のときは二足歩行がうまくできず、杖を使ったりソファなどに寝転がっていることが多いです。
「戦鎚の巨人」
継承者:タイバー家当主?
能力:???
61話で初めて「戦鎚の巨人」という名前が出ましたが、アニメではタイバー家が管理しているとしか明かされていません。
ちょっとネタバレ:ダイバー家当主ヴィリーの妹が継承。他の巨人のように継承者がうなじに居るわけではなく、地中から硬質化した巨人を操ります。
【進撃の巨人 The Final Season】60話&61話感想まとめ
アニメ【進撃の巨人 The Final Season】60話・61話はマーレの戦士たちの話で、原作の22巻(第90話)までが描かれています。
自分たちを迫害するマーレに対し、犠牲的に奉仕することでしか生きられない悲しい運命だとわかっていながら、エレンたちのパラディ島を巨人の力で攻撃するという非道さにどの立場で受け止めればいいのか迷う展開です。
その葛藤に心を引き裂かれ苦悩するライナーが、実は一番善人で主人公的なのかもしれないとさえ思えてきます。
*
前シーズンの終わり頃から、飛んでいるたくさんの鳥が画面に出てくるようになりました。
それは、海の向こう側に思いを巡らすエレンの思いであり、諸外国に航空機開発で遅れをとってしまったマーレの、特に巨人になることでしか評価されないマーレの戦士たちの虚しい憧れの象徴です。
61話の冒頭でも元帥が「羽のはえた巨人はいなかったか」と言っているように、大国マーレには焦りと綻びが見え始めています。
そこへエレンたちパラディ島の兵士たちがどう攻め込んでくるのか、激動の展開が楽しみです。